更新日 2026.01.20

インダストリアルエンジニアリング(IE)とは?物流現場の生産性を高める手法と活用例を解説

インダストリアルエンジニアリング(IE)とは?物流現場の生産性を高める手法と活用例を解説

物流現場の生産性向上やコスト削減に取り組む中で、「どこに改善の余地があるのかわからない」「改善しても効果が持続しない」といった悩みを抱えていませんか。こうした課題を解決するために注目されているのが、インダストリアルエンジニアリング(IE)です。

本記事では、物流DXパートナーのHacobuが、インダストリアルエンジニアリングの基本から物涁現場での活用方法までをわかりやすく解説します。

なお、物流現場の生産性向上やコスト削減なら、物流DXコンサルティング「Hacobu Strategy」がご支援できます。Hacobu Strategyは、データに基づいた物流課題の可視化から改善策の立案・実行まで、幅広く包括的にサポートするプロフェッショナル集団です。

Hacobu Strategyの概要は以下よりご覧ください。

インダストリアルエンジニアリング(IE)とは

インダストリアルエンジニアリング(IE)とは、人・設備・材料・情報などの経営資源を統合的に設計・改善し、生産性や効率性を最大化するための工学的手法です。もともとは製造業の生産現場で発展してきた考え方ですが、近年では物流領域においても広く活用されています。倉庫内のピッキング作業や入出荷工程、トラックの荷役作業など、物流現場には「ムダ・ムラ・ムリ」が潜んでいることが少なくありません。インダストリアルエンジニアリングの手法を用いることで、これらの非効率を定量的に把握し、科学的なアプローチで改善を進めることが可能になります。

インダストリアルエンジニアリングの歴史と背景

インダストリアルエンジニアリングの起源は、20世紀初頭のアメリカにさかのぼります。フレデリック・テイラーが提唱した「科学的管理法」や、フランク・ギルブレスによる「動作研究」が、その基盤となりました。当初は製造業の工場における作業効率化を目的としていましたが、その後、サービス業や医療、そして物流領域へと適用範囲が拡大していきました。特に物流現場では、倉庫作業や輸配送業務において多くの人手作業が存在するため、インダストリアルエンジニアリングの手法が効果を発揮しやすい分野として注目されています。

インダストリアルエンジニアリングの目的

インダストリアルエンジニアリングの最大の目的は、QCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)の改善を通じて、企業の競争力を高めることにあります。

まず「品質(Q)」の観点では、作業の標準化やヒューマンエラーの削減を通じて、誤出荷や破損といった物流品質の向上を目指します。次に「コスト(C)」については、作業時間の短縮や人員配置の最適化により、人件費や運営コストの削減を実現します。そして「納期(D)」においては、工程のボトルネックを解消し、リードタイムの短縮や納品精度の向上に貫献します。

物流現場においては、これら三要素は密接に関連しています。たとえば、倉庫内のピッキング作業を改善すれば、作業ミスが減り(品質向上)、作業時間が短くなり(コスト削減)、出荷までのリードタイムも短縮(納期改善)されます。インダストリアルエンジニアリングは、このようにQCDをバランスよく改善するための科学的なアプローチを提供します。

インダストリアルエンジニアリングの特徴

インダストリアルエンジニアリングには、他の改善手法とは異なるいくつかの特徴があります。

最も大きな特徴は「定量的アプローチ」です。インダストリアルエンジニアリングでは、作業時間や動作回数、移動距離などを数値で把握し、データに基づいて改善策を立案します。「なんとなく効率が悪い」といった曖昧な認識ではなく、「この作業に平均○分かかっており、○%のムダがある」といった形で問題を可視化します。

次に重要なのが「現場主義」です。インダストリアルエンジニアリングでは、実際の作業現場を観察し、現場の作業者と対話しながら分析を進めます。机上の空論ではなく、実態に即した改善策を導き出せる点が強みと言えます。

また、インダストリアルエンジニアリングは「継続的改善」を前提としています。一度の改善で終わるのではなく、PDCAサイクルを回しながら繰り返し改善を行うことで、持続的な生産性向上を実現します。

インダストリアルエンジニアリングの主な手法

インダストリアルエンジニアリングにはさまざまな分析手法があります。ここでは、物流現場で特に活用される代表的な手法を紹介します。

動作分析(モーションスタディ)

動作分析とは、作業者の一つひとつの動作を細かく分解し、ムダな動きを特定する手法です。たとえば倉庫内のピッキング作業において、「商品を探す」「取り出す」「確認する」「カートに置く」といった動作を分解して分析します。この分析により、「商品を探す時間が長い」「不必要な往復動作が多い」といった問題点を発見でき、作業手順の改善につなげることが可能です。

時間研究(タイムスタディ)

時間研究は、各作業にかかる時間を計測し、標準時間を設定する手法です。物流現場では、トラックの荷役作業時間の計測が代表的な活用例として挙げられます。トラックが物流センターに到着してから出発するまでの時間を「荷待ち時間」「荷役時間」などに分けて計測することで、どの工程に時間がかかっているかを明確にできます。このデータをもとに、荷待ち時間の削減や荷役作業の効率化といった改善策を立案します。

工程分析

工程分析は、業務の流れ全体を可視化し、各工程のつながりやボトルネックを把握する手法です。物流センターの入出荷フローを例にとると、「入荷検品→棚入れ→保管→ピッキング→検品→梱包→出荷」といった一連の流れをフローチャートで表します。これにより、どの工程で滞留が発生しているか、どこに重複作業があるかといった問題点を発見できます。たとえば、「検品工程での待ち時間が長い」といった課題が見つかれば、人員配置の見直しや作業順序の改善といった対策を講じることができます。

レイアウト分析

レイアウト分析は、設備や作業エリアの配置を見直し、移動動線の最適化を図る手法です。倉庫や物流センターでは、商品棚の配置、通路の幅、入出荷バースの位置などが作業効率に大きく影響します。たとえば、出荷頻度の高い商品を出荷エリアの近くに配置したり、ピッキング動線が一筆書きになるように棚の配置を変更したりすることで、移動距離を短縮できます。このようなレイアウトの最適化により、作業時間の短縮や作業者の負担軽減につなげることが可能です。

インダストリアルエンジニアリングを物流に活用するメリット

インダストリアルエンジニアリングを物流現場に導入することで、以下のようなメリットが期待できます。

作業効率の向上とコスト削減

インダストリアルエンジニアリングの最大のメリットは、作業効率の向上とそれに伴うコスト削減です。たとえば、動作分析とレイアウト改善によってピッキング作業の移動距離を削減できれば、1件あたりの作業時間が短縮され、同じ人数でもより多くの出荷をこなせるようになります。また、Hacobuのお客様において、時間研究によって荷役作業の標準時間を設定し、バースの回転率を向上させることで、1日あたりの受入れ可能台数を増やした事例もあります。このような効率化は、人件費の削減や残業時間の短縮に直結し、物流コスト全体の最適化に貢献します。

属人化の解消と標準化

物流現場では、「あの人でないとできない」「ベテランの勘に頼っている」といった属人化が課題になりがちです。たとえば、倉庫内のピッキングルートや荷積みの順序が特定の作業者の経験に依存していると、その人が不在のときに作業効率が大きく低下します。インダストリアルエンジニアリングでは、動作分析や時間研究を通じて「熟練者がなぜ速いのか」を数値とプロセスで可視化し、誰でも再現できる標準作業手順書(SOP)に落とし込みます。これにより、新人でも一定水準の作業品質・スピードを実現でき、教育期間の短縮や人員配置の柔軟性向上にもつながります。属人化の解消は、人手不足が深刻化する物流業界において、持続可能なオペレーションを構築するうえで欠かせない取り組みです。

ボトルネックの特定と改善

物流現場では、特定の工程がボトルネックとなり、全体の生産性を低下させているケースが少なくありません。インダストリアルエンジニアリングの工程分析や時間研究を活用すれば、どの工程で滞留や待ち時間が発生しているかを数値で把握できます。代表的な例が、物流センターにおけるトラックの荷待ち時間です。トラックが到着してから荷役作業を開始するまでの待機時間を計測・分析することで、「バースの空き待ち」「伝票処理の遅延」「フォークリフトの不足」など、具体的な原因を特定できます。原因が明確になれば、バース予約システムの導入や作業人員の再配置といった対策を講じることが可能です。ボトルネックを一つずつ解消していくことで、物流全体のスループットが向上し、納品リードタイムの短縮やドライバーの拘束時間削減にもつながります。

物流現場のインダストリアルエンジニアリングには、バース予約システム

物流現場のインダストリアルエンジニアリングには、バース予約システムが有効なソリューションの一つです。前述のとおり、荷待ち時間のボトルネックを解消するには「バースの空き待ち」や「入場車両の集中」といった課題を解決する必要があります。バース予約システムを導入すれば、トラックの入場時間を事前に予約・分散させることで、計画的な入出荷作業が可能になり、インダストリアルエンジニアリングで明らかになった課題を仕組みとして解決できます。

バース予約システムの代表例が、株式会社Hacobuが提供する「MOVO Berth(ムーボ・バース)」です。MOVO Berthは6年連続シェアNo.1を誇り、累計80万ID以上のドライバーに利用されています。選ばれる理由は、荷待ち・荷役時間の可視化と削減を同時に実現できる点にあります。トラックの到着から出発までの時間をデータとして蓄積できるため、インダストリアルエンジニアリングに基づいた継続的な改善活動を支援します。また、多くの物流現場で利用されているため、運送会社やドライバーにとっても馴染みがあり、導入時の混乱を最小限に押えられる点も大きな強みです。

MOVO Berthのサービス資料は以下よりダウンロードいただけます。

まとめ

インダストリアルエンジニアリングは、動作分析や時間研究、工程分析、レイアウト分析などの手法を用いて、物流現場の「ムダ・ムラ・ムリ」を定量的に把握し、科学的に改善を進めるアプローチです。作業効率の向上やコスト削減、属人化の解消、ボトルネックの特定といった効果が期待できます。物流現場においてインダストリアルエンジニアリングで明らかになった課題をシステムで解決するなら、MOVO Berthの導入をぜひご検討ください。

著者プロフィール / 菅原 利康
株式会社Hacobuが運営するハコブログの編集長。マーケティング支援会社にて従事していた際、自身の長時間労働と妊娠中の実姉の過労死を経験。非生産的で不毛な働き方を撲滅すべく、とあるフレキシブルオフィスに転職し、ワークプレイスやハイブリッドワークがもたらす労働生産性の向上を啓蒙。一部の業種・職種で労働生産性の向上に貢献するも、物流領域においてトラックドライバーの荷待ち問題や庫内作業者の生産性向上に課題があることを痛感し、物流領域における生産性向上に貢献すべく株式会社Hacobuに参画。 >>プロフィールを見る

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