交通障害時の車両位置把握による、BCP対策を強化したかった
Q.MOVO Fleetの導入前の課題を教えてください。
大場様:自然災害発生時のBCP対策の強化が背景にありました。
スーパーやコンビニエンスストアなど店舗への配送は到着時間の制約があり、交通状況によっては、運行管理者がドライバーに配送ルートを指示しなければなりません。特に、震災や台風、積雪や豪雨などで交通障害が発生した際、運行管理者は車両の位置をドライバーに電話で確認し、迂回ルートの指示や店舗への到着予定時間の報告、状況に合わせた配車の組み換え等の業務が発生しますが、全ての車両位置を電話で確認し、把握するのは困難を極めるものでした。
2021年1月の日本海を中心とした豪雪時には、通行止めや渋滞の影響もあり、数日に渡って店舗への商品配送に大幅な乱れが発生しました。車両の現在地を確認する為に、運行管理者は常にドライバーと電話でやり取りをし、迂回ルートの指示も後手後手になり、全てが煩雑になってしまった結果、休憩を取る事すら厳しい状況でした。
コンビニ業界で当たり前になっていた”リアルタイムな配送状況把握”を、スーパー業界でも実現したかった
大場様:また当物流センターは、スーパー様への店舗配送を複数の運送会社様に委託しております。そのため配送全体での動態把握は出来ておらず、あくまで店舗様への到着報告は、配送員からの事後報告のみで、センター全体のリアルタイムでの配送状況、正確な実績が見える仕組みはありませんでした。
私自身はコンビニ業界での物流に長く携わっていたので、そのような状況に違和感を覚えました。
コンビニ業界の配送は一定の物量を見込めることもあり、専用車両が多いです。そのため車両自体にGPS端末を取り付けることは難しくありませんでした。 しかしスーパー業界は物量の波動が大きいため、当日の物量に合わせ、普段スーパーへの配送がメインではない車両も合わせて配送することも多々あります。
スーパー専用ではない車両が多い中、取り付け作業が必要かつコストもかかる、コンビニ業界の端末をそのまま導入することは現実的ではありませんでした。
また配送トラックの走行距離の集計の為に、手書きの日報を集計していました。記載の誤りの確認や集計に膨大な時間が掛かり、大変非効率だったことも課題でした。
求める機能を予算内で得られるのはMOVO Fleetしかなく、”救世主”だと感じた
Q.MOVO Fleetを選んだ理由は何でしょうか?
大場様:実態に即した必要最低限の、一番欲しかった機能・サービスに絞り込んでいる為、圧倒的にコスト安だったことです。
求める機能を満たす製品は他にもありましたが、私たちには必要のない機能も多くついていて、その分高額なものばかりでした。MOVO Fleetを見つけた時は”救世主だ”と思いましたね。
ヤマエ久野様が検討の際、大事にされたポイント ①システム画面の見やすさ ②端末の設置・入替・操作の簡単さ ③専用パソコンでなくても車両位置把握が可能か ④情報取得のリアルタイム性 |

配送計画ダッシュボードで予実管理。遅延情報はセンター責任者全員の携帯へ、事前に警告している
Q.お使いいただいているシーンについて教えてください。
大場様:配送計画ダッシュボードにて、リアルタイムで配送の予実管理をしています。運送会社様からも見やすく管理しやすいと好評です。 実績はエクセルで出力、AI推進室と協力し、早配・遅配の有無、拘束時間を検証して配送コース適正化へ日々活用しています。
配送遅れが見込まれる場合は、センター責任者全員の携帯へ事前に警告メールで通知しています。警告メールが届いたら、直ぐに現在位置やどのくらいの遅延が見込まれるか等の状況を確認し、店舗様への連絡漏れが起こらない体制にしました。

豪雨災害・車両トラブル発生時に大活躍、BCP対策の有効性を実証
大場様:豪雨災害、走行中タイヤパンク事故の際、MOVO Fleetは大活躍しました。”BCP対策を強化したい”という一番の導入目的で、正に有効性が実証されています。
▼事例:2021年8月の豪雨災害でのMOVO活用については、以下のニュースで取り上げています 自然災害時の運行管理とデータ分析活用のため、食品卸大手のヤマエ久野がHacobuの動態管理サービス MOVO Fleetを導入。 MOVO Fleetと国交省の通行止め情報を突き合わせ、的確に迂回ルートを指示、到着見込み時間を把握できたことで、 ▼事例: 2021年6月の車両走行中 パンク事故 配送中の車両が突然パンクを起こし、走行不能に。 MOVOの位置情報で、停車した箇所の正確な住所を迅速に把握出来た為、修理業者の手配も格段に早く実施でき、 店舗への配送遅れは なおかつ、MOVO Fleetの位置情報はGoogle Mapを使用している為、地点間の移動にかかる時間の見込みをおおよそ把握できます。 |
深夜の有料ルートを見直し、月20万円のコスト削減。配送業務の妥当性も評価
Q. 費用対効果をどのように評価されているか、教えていただけませんか?
大場様:深夜帯の配送コースに着目し、有料道路の配送実績データを分析、有料道路を走らなくても良いところは一般道路に変更しました。全体の3割以上の配送コースを変更し、月間20万円のコスト削減を達成しました。
MOVOで正確に捉えたデータを根拠に、弊社が主導権を持って収支改善に繋げられる仕組みになった事が大きかったと思います。
また、ブラックボックス化していた配送員の各業務の時間の把握(積込時間・店舗滞留時間・拘束時間・走行距離等々)、正規のルートを通っているか、高速利用区間が正しいかの検証が明確に出来る様になりました。
配送原価計算の基礎数値を正確に把握し、運賃の妥当性や得意先様の納品条件等も加味しながらの便数・車両削減、配送ルートの定期的な組み直しを進めていきます。

Q.導入時に苦労したポイントと、その対処方法は何でしたか?
大場様:決めたルートを走る車両が毎回変わるため、頻繁なGPS端末の抜き差しによるシガーソケット自体の故障を懸念していました。更に、ほぼ全ての車両がシガーソケットをスマホの充電・社内専用端末等で使用していたため、市販の2口分配シガーソケットを導入して対応しました。
設定段階では、正確に着荷情報を取得するため、地点の認識基準時間・半径の調整には大変苦労しました。2週間に渡って微調整を繰り返し、今の運用が実現できています。
また、しっかり現場へ浸透させるため、社内専用のマニュアル作りには時間をかけました。
MOVO Fleetの進化を期待しつつ、他拠点にも広めていきたい
Q.今後、MOVO Fleetを使って実現したいことはありますか?
平岡様:今後導入する拠点が増えたら、1拠点だけの配送コースの改善だけでなく、複数拠点を組み合わせた更なる改善ができるのではと考えています。もっと高度な分析をしていくためにも、MOVOには進化し続けてくれると嬉しいです。
ヤマエ久野株式会社 大場様、平岡様、ありがとうございました!