手作業での荷待ちの実態把握に限界。運送事業者に薦められたことをきっかけにMOVO Berth導入へ
Q.MOVO Berth導入前の課題を教えてください
神戸工場では、朝に入荷車両の入場が集中し、2時間を超える荷待ち時間も発生していました。車両休憩場所に収まりきらない車両が敷地外で待っていることもあり、出勤などで人の出入りも多いため、危険を感じることもありました。
そのような中、2023年6月に「物流革新に向けた政策パッケージ」が公表されたことをきっかけに、取引先と事前に納品時間の取り決めを行い、車両の入場を分散することで、荷待ち時間を削減する取り組みを開始しました。当初は、来場頻度の高い取引先のみを対象とし、手作業で荷待ち・荷役時間の管理を行っていましたが、完全に2時間以上の荷待ち車両をなくすためには、全ての取引先との取り決めを行う必要がありました。すでに、手作業による管理で現場に負荷がかかっている中、対象を拡げることに限界を感じていました。
Q.MOVO Berthを選んだ理由を教えてください。
MOVO Berthを検討したきっかけは、運送事業者さんから「MOVOを入れてくれたら嬉しい」との声をいただいたことです。システムは検討していなかったのですが、運送事業者に薦められるシステムであればと思い、当社からHacobuに問い合わせをさせていただきました。
営業担当の方からは国の動きや2024年問題への対策について、的確で丁寧なアドバイスがあり信頼できました。予約システムを使った運用により「ドライバー都合による荷待ち」と「工場側の都合による荷待ち(=有責待機)」を切り分けて問題解決を行うことができるとのご説明もいただき、MOVO Berthを使った予約運用により、改善ができると感じました。

(出典:有責待機とは?バースの予約運用で本質的な荷待ち時間削減に取り組もう)
また、MOVO Berthのユーザーインタフェースが非常に優れていたことも決め手のひとつです。シンプルな操作性で、初めて操作する人でも直感的に操作できます。当時の神戸工場の責任者とも相談し、森永乳業として今後荷待ち問題に適切に対処していくためにMOVOのような仕組みが必要との判断になり、採用させていただきました。
Q.現在はどのようにお使いいただいていますか?
配送委託業者に入力いただいた納品希望時間を確認し、予約日時の確定をしています。各配送委託業者の都合にあわせた希望時間をシステム上で調整することができるので、「いつもは9時だけど、今日は10時にしたい」などの希望を汲み取ることもできます。また、当日到着遅れが発生した際には、MOVO Berthを通して連絡していただくことでスムーズな連携が図れています。
資材倉庫の荷役担当者にはタブレットを支給し、作業スケジュールの把握や開始/終了時間の記録をしてもらっています。

作業計画の見える化により、車両受入作業時間が半減。
Q.MOVO Berth導入の効果を教えてください
荷待ち・荷役時間の把握にかかる集計業務がゼロとなり、効率化が図れています。
MOVO Berthのダッシュボード機能により、長時間の滞在が発生していないか一目で確認可能です。データをCSVダウンロードすることにより、いつでもデータを基にした振り返りができるようになりました。本社に荷待ちに関するデータを報告しているのですが、報告用資料も簡単に作成できています。集計や記録漏れに関するプレッシャーから開放され、心理的な負荷軽減にも繋がりました。
また、作業計画が見える化されたことで、車両1台当たりの受入作業時間は、導入以前に比べて半分まで効率化を実現できました。事前に準備ができるので、車両が接車したあとの作業がスムーズに行え、結果、車両のバース滞在時間が短縮されました。
資材倉庫の担当者は何時にどんな資材が納品されるのかが事前に分かるため、不要な待ち時間をカットする動きがとれるようになりました。例えば、予約時に荷姿を登録していただくことで、空きスペースでの荷降ろしが可能か判断できるようになりました。少量の手卸しであればバースを使う必要がなく、別の車両がバースを使っている時に空きスペースに荷物を降ろす指示ができ、車両の待ち時間を削減できます。
その他にもパレット返却が必要な場合は事前に準備しておくなど、入場する車両や納品される資材の全体像が見えるようになることで細かい効率化を積み重ねていくことができるようになりました。

Q.MOVO Berth導入の苦労や運用成功の秘訣を教えてください
品目と数量により作業時間が自動算出されるようマスタ設定を行っていますが、当工場では、沢山の原材料を取り扱っているためこの初期登録に苦労しました。現在も、実績データをみながらマスタ設定の見直しを行い、作業予定時間を精緻化しています。
また、取引先や庫内作業者の理解を得ることも重要と考えています。Hacobuの担当と実施したWeb説明会には100名以上に参加いただきました。MOVO BerthはシェアNo.1(*2)のトラック予約受付サービスなので、他の拠点で使ったことのあるドライバーも多く、受け入れられやすかったように感じます。稼働後2週間ほどで安定したように感じます。
業務委託している庫内作業者には、MOVO Berthの導入によってどんなメリットがあるのかを説明し、理解いただきました。若手の作業員を中心に自発的にアイディアを出していただきながら、活用を推進していただき感謝しています。
Q.今後の展望を教えてください
MOVO Berthの導入により、蓄積されたデータを活用し改善を進めていくことで、荷待ち時間の削減や荷役効率の向上を実現できました。
また、MOVO Berthはステークホルダーの方との持続的で良好な関係を築く効果もあると感じており、ドライバーさんへの時間的負担の軽減や、作業員の改善意識の醸成にもつながっています。今後もDX化をさらに進め、資材受入に関わる全ての人のかがやく”笑顔”のために必要な環境を整えていきたいです。
*1: 「物流の適正化・生産性向上に向けた、荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230602005/20230602005-1.pdf
*2: 出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所『スマートロジスティクス・ソリューション市場の実態と展望【2023年度版】』https://mic-r.co.jp/mr/02960/ バース管理システム市場の売上高および拠点数におけるシェア