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商流情報を物流情報として現場でも活用し、最適なバース運用を実現 高効率の商品入荷でテレビ通販の売上最大化にも寄与

更新日:2023年05月19日
導入製品
MOVO Berth(予約・受付)
用途
入荷
会社/事業所・拠点名
ジュピターショップチャンネル株式会社・茜浜物流センター
所在地
千葉県習志野市
延床面積
56,000㎡
バース数
7バース
一日あたりの受入車両台数
約20台
従業員数
約500人

コロナ以降ますます在宅のショッピングニーズが高まり、もはや「インフラ化している」と言われる通販。ジュピターショップチャンネル株式会社は多彩な商品を24時間ご紹介する国内最大手のテレビ通販事業者です。基幹センターである茜浜物流センターでは、商品の受入から保管、出荷までを一気通貫で行い、番組放送翌日のタイムリーな出荷を実現させています。

その茜浜物流センターでは2019年からトラック予約受付サービス「MOVO Berth」を導入。プロジェクトリーダーとして入荷業務の改善に取り組んできた武井様に詳しくお話をお伺いしました。

物流本部 物流企画部 企画グループ
武井 純 様

導入の背景
  • 車両待機が販売機会の損失を引き起こしている
導入の決め手
  • 入荷車両情報のデータが必須だと考えた
導入の効果
  • 大型車両の荷降ろしに必要な作業時間を算出できるようになった

Q.武井様の担当業務の内容を教えてください。

私は物流企画部企画グループで新規物流システムの提案と運用改善を担当しています。物流企画部の前は品質管理の業務に携わっていました。

インタビューにお答えいただいた武井様

インタビューにお答えいただいた武井様

車両待機が販売機会の損失を引き起こしている

Q.今回、「MOVO Berth」の導入に至った経緯を教えてください。

予約システム導入前は先着順に車両を受け入れており、繁忙期には待機が起こっていました。それに加えて近年ドライバー不足が深刻化し、待機時間が長引くと次の仕事を控えたドライバーが荷降ろしせずに帰ってしまうようになりました。その結果、商品入荷の遅延が生じていたのです。

ジュピターショップチャンネルの商品は基本的に番組放送の『翌日出荷』です。「すぐに届くのであれば購入する」お客様も多く、正確性と迅速性を確保した出荷オペレーションは販売機会の最大化に大きく貢献しています。しかし、入荷遅延によって在庫が不足し『翌日出荷』が実現できなければ、販売機会を損失してしまいます。

リアルタイムの在庫状況をもとに残り商品数を視聴者にも伝えている

リアルタイムの在庫状況をもとに残り商品数を視聴者にも伝えている

入荷車両情報のデータが必須だと考えた

安定した商品供給を実現するため、入荷車両を管理できていない状況を解決しなければなりません。しかし、解決しようにも現状把握できるデータがどこにもありません。車両の待機時間や作業時間が取得できておらず、ドライバーがなぜ帰ってしまったかもわからない。まずはデータ化が必要だと考え、予約受付システム導入の検討を始めました。

Q.「MOVO Berth」導入プロジェクトをキックオフされた武井様。その後の道のりは苦労も多かったと聞いています。

はい、その通りです。(笑)

当センターではまず受付システムとドライバー予約の導入からスタートしました。受付システムを現場運用に組み込むことはできましたが、初めは荷降ろしの作業時間の取得※1ができませんでした。庫内スタッフに依頼をしていましたが、なかなか浸透しません。「手間が増える」と思われ、必要性が理解されていませんでした。

そこで改めて現場で作業時間を入力する意図━作業状況の可視化が効率的な入荷オペレーションのために必要であること━を説明し、やっと定着させることができました。

※1・・・「MOVO Berth」では荷積み・荷降ろし作業時間の開始・終了時間を入力することが可能

「予約車が優先」と打ち出している受付タブレット。現場でシステムを浸透させるため、マニュアルも見直した

「予約車が優先」と打ち出している受付タブレット。現場でシステムを浸透させるため、マニュアルも見直した

次に苦労したのは、バースへの割当方法です。

私たちは車格やサプライヤーによって荷降ろしを行うバースを決めていますが、MOVOを予約するドライバーはサプライヤー名を知らない、またMOVOに自由に入力できる項目がないという理由で予約時に充分な情報を得られていませんでした。

本来であれば、商品やサプライヤー名にもとづいて事前に予約のバース割当をするべきところ「予約枠」という仮のバースに割当を行い入場後に実際のバースに移動させる、実態から離れた運用になっていました。

日々進化するMOVOは運用を見直すきっかけになった

Q.データを取得する第一段階は乗り越えることができたものの、効率的なバース割当を実現するところに困難があったのですね。どのように乗り越えていったのですか?

2020年7月に「MOVO Berth」のシステムリニューアルがあり、ドライバー予約時に「カスタム項目」を設定できる機能追加がありました。これを機にドライバーにPO(発注指示)番号を入力してもらう運用をスタートしました。事前にPO番号がわかるようになったことで、センター担当者がWMS(倉庫管理システム)の商品情報と照合し、サプライヤー名をMOVOに入力します。サプライヤーごとに適切なバース割当や庫内準備ができるようになりました。

私は以前、品質管理の部署で入荷前検査を行っていましたが、前工程では商品情報があるにも関わらず、物流現場ではその情報が業務に生かされていないことが課題だと感じていました。
PO番号のような商流の情報を物流情報として現場でも活用することで、入荷作業などの効率化を進めることができると考えています。

Q.MOVOのリニューアル後に新たな取り組みをされていると聞いています。

はい、PO番号以外にもカスタム項目を使い「横降ろしの可否」の入力欄を設定しました。当センターでは横降ろしができるバースが限られているため、事前にわかることで効率的にバース割当ができます。
MOVOのリニューアルは弊社にとっても従来の業務フローを見直すきっかけとなりました。予約主体の拡大、「荷量から作業時間を計算する機能」の利用など、改めてMOVOを最大限活用しようと動き出しています。前述の「予約枠」バースはまだ残っていますが、近い将来この運用を撤廃したいと考えています。

大型車両の荷降ろしに必要な作業時間を算出できるようになった

Q.最適な運用を求め、トライアル&エラーを継続されている様子が伝わってきます。導入効果は感じていらっしゃいますか?

データの可視化については既に効果を実感しています。

例えば大型車両の荷降ろしに必要な作業時間を算出できるようになりました。大型車両のバースは混み合うことが多いのですが、作業時間に対しバース数自体が足りないこともわかってきました。データにもとづいた具体的な改善策の検討が可能になったことは導入効果の一つと言えます。

今もまさに理想の運用に向けて取り組んでいるところです。今後は、もっと大きな導入効果を出せるよう取り組んでいきます。

Q.今後は「MOVO Berth」をどのように活用していくご予定でしょうか?

まずは予約率の向上を早期に実現したいですね。予約が定着し、適切なバース割当を実現することで、当初の目標である「待機時間ゼロ」を達成できると考えています。

理想の運用方法の構築のため、MOVOを利用している他社企業の事例も参考にしています。他社ノウハウを自社の改善に生かせるのもクラウド型のMOVOならではですね。

Q.最後に導入をご検討されている方へメッセージをお願いします。

業界No.1シェアでドライバー認知度が高いこと、クラウド型でサーバー設置やシステム保守の必要がないこと、多額の初期費用がかからないことから私たちはMOVOを選びました。MOVOはクラウド型のため、自社の運用には合わないのではないかと思われている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ユーザーの細かな要望にもとづき2週間に1回のペースで新機能が追加されていきますし、カスタマーサクセスチームに運用相談に乗っていただけるので心配することはありません。私たちもいつも機能要望をお伝えしています。

今後、予約システムの利用はどの物流拠点でも当たり前になっていくはずです。導入した企業同士で成功事例を共有していきたいですね。

「先進的な取り組みを発信し、物流のイメージを変えていきたい」と快くインタビューをお引き受けいただいた武井様。

インタビューにご協力いただき、ありがとうございました!