バースの有効活用ができておらず、トラックの長時間待機が発生
Q.MOVO Berthの導入前の課題を教えてください。
佐野さん:課題はいくつかありました。当センターではバースを入庫用と出庫用で分けて運用しています。
入庫ではバースの運用ルールが確立しおらず、バースの空き枠が把握できておらず、有効活用できていませんでした。また、施設内で待機しているドライバーさんへの連絡手段の構築ができておらず、直接声を掛けに行く煩雑さがありました。
出庫では、待機車両の増加が問題となっていました。ドライバーさんがバースに接車し受付をしてから伝票の突合を行い、庫内が出庫準備に取り掛かるという業務フローだったので、積み込み終了までバースを長時間占領してしまっていました。そのせいで長時間待機が発生し、ドライバーさんからクレームを言われることもありました。待たされるセンターだと思われてしまうと、納品を後回しにされて残業が発生することもありました。
オンライン受付で、どの運送会社がいつ到着するか把握できる
Q.MOVO Berthを選んだ理由は何でしょうか
佐野さん:東京水産ターミナルのテナント企業が構内のトラック待機時間の削減に取り組む「グリーン物流プロジェクト」内でMOVO Berthを知りました。当センターで円滑なバース管理を行う事が可能だと判断し導入しました。
そして、決め手はスマホを使って遠隔地から受付ができる「オンライン受付」機能の存在です。この機能があることで事前にどの運送会社さんが何時ごろにやってくるか、ある程度把握することができ、庫内の事前準備がスムーズになることが期待できました。
MOVO導入に合わせて思い切って運用ルールも変えた
Q.現在はどのようにお使いいただいていますか
佐野さん:まず、導入に合わせて運用ルールも変更しました。荷主さまにご協力いただき、出庫オーダーの締め時間を当日12:00から前日17:30に変更してもらいました。東京水産ターミナル全体でそのような動きがあったので、タイミングとしてもちょうど良かったのです。
その上で、オンライン受付機能を活用しています。当日遠隔でドライバーさんが受付をしてくれるので、庫内はピッキングをした状態で車両が来るのを待つことができます。
狩野さん:ドライバーさんも最初は「デジタル」に苦手意識をもっている方もいらっしゃいましたが、利便性を感じて問題なく活用いただいています。呼び出し時間の目安が分かっていれば、車内で休憩しながら待機することができるので。
Q.導入にあたり、工夫されたポイントはありましたか
佐野さん:社内全員を巻き込むことと、ドライバーさんへの周知です。社内でも最初は難しそうだという意見もありました。ただ有効なシステムは積極的に導入した方がよいと思うので、社内の各部署でバースの状況が閲覧できるようにアカウントを付与し、活用してもらっています。
苦労したのはオンライン受付機能のドライバーさんへの周知です。2階にある受付事務所に来るドライバーさんに認知してもらえるよう、Hacobuさんからいただいたポスターを壁に貼るなど現在でも利用率増加を目指しております。
また、立ち上げの時にHacobuのカスタマーサクセス部の方に現場に来てもらい、ドライバーさんからの使い方の質問に対応いただけたのは非常に助かりました。
バースの有効活用で残業時間が13%削減され、昨対比50時間減
Q.MOVO Berth導入後、どのような成果が出ているでしょうか
佐野さん:準備の時間を確保できるようになったので、繁忙期である12月に運送会社さんやドライバーさんから待機のクレームはなくなりました。待機時間が長いと当センターへの荷降ろしを後回しにされてしまうこともあります。それがなくなったので残業時間も昨年対比87.9%と削減効果が出ています。
狩野さん:以前は20時以降に到着するドライバーさんもいましたが、今は17時、早いと16時にはすべてのドライバーさんがいらっしゃいます。これはバースを有効活用できているからだと思います。
余裕あるフォークリフト運転で、外装破損も削減
佐野さん:その分の時間を社員の教育の時間に充てることができるようになりました。また、事前に庫内の準備をしておけるので、フォークリフト作業の時間にも余裕ができました。以前は外装破損で、荷主へ謝罪の連絡を入れたり、買い取る必要があったので、そのストレスも減ったのは非常に大きいです。
また、HACCP※に則した衛生管理のための検品や来客の入退場管理にも活用しています。以前は紙の受付簿だったので、検品や来客の方は記入漏れもありました。そして、受付スタッフとドライバーさんの接触を回避できる点ではコロナ対策としても有効で、幅広く活用しております。
※HACCP:令和3年6月1日から食品等事業者(食品の製造・加工、調理、販売等)に義務付けられる衛生管理の手法。施設内への入退場記録を義務付ける団体もある。
Q.今後、MOVOを使って実現したいことはありますか
佐野さん:今後はMOVOの予約システムの導入も前向きに考えたいと思っております。また、MOVOを導入する物流企業が増えてきているので、その繋がりを活かすことができればより便利になると思います。例えば入出庫の情報とパレットの管理の情報を紐づけて、パレット回収の仕組みをつくれたら、パレット積み、パレット降ろしが実現できるのでは?と想像したりします。
そうした時代の変化に柔軟に対応しながら、お客様にとって最適なロジスティクス・サービスを提供すべく絶えず最善の方法をHacobuさんと一緒に捜し求めていきたいですね。
株式会社ナカムラロジスティクスの皆様、ありがとうございました!