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実運送体制管理簿の義務化を見据え全社DXを推進 MOVO Vistaで持続可能な物流体制へ

会社名
ASKUL LOGIST 株式会社
導入製品
MOVO Vista
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ASKUL LOGIST 株式会社(以降、アスクルロジスト)は、アスクル株式会社(以降、アスクル)の物流を担う会社として、2009 年にアスクル株式会社の子会社として設立されました。社名に含まれる「LOGIST」は、「Logistics(物流)」と「Best(最高)」を組み合わせた造語であり、「最高のロジスティクスをお客様に提供する」というミッションを表しています。その中核を担う輸送事業本部は、全国の輸送業務を統括し、「輸送手配の適正化」「輸送網の可視化」「輸送効率の向上」に取り組んでいます。

アスクルロジストでは、2021 年 4 月に MOVO Vista の導入を開始し、現在では全国15 カ所すべての物流センターに展開しています。2025 年 4 月に義務化される「実運送体制管理簿」の作成にも、配車受発注・管理サービス MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)を活用して対応を進めています。

今回は、輸送事業本部 管理部 部長の才本 淳二様に、MOVO Vista の活用とともに進めてきた輸送業務のデジタル化・法対応についてお話を伺いました。

※本記事は「アスクルロジスト登壇!実例で学ぶ、『実運送体制管理簿×DX』実践ノウハウ」での講演内容に基づき作成しています。掲載内容は全て講演時(2025 年 2 月)現在の情報に基づいています。

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アナログ業務を脱却し、月間45時間の工数削減に成功

才本様:現在、当社はアスクルの輸送とアスクル以外の荷主様の輸送を行っています。当初はアスクルの配送店への輸送である通常輸送と、在庫移動の輸送のみ行っていましたが、2020年にアスクル以外の荷主様との取引が始まりました。

MOVO Vista導入以前は、輸送パートナー様への輸送の依頼の際には、電話やメール、FAXなどのアナログな手法を用いていました。また、請求業務においてもExcelを用いており、手元の資料で金額の突合せをしていました。

しかし、アスクル以外の荷主様との取引が始まったことによって依頼件数が増加し、依頼の手間も増えました。これに伴い、2020年8月下旬に輸送管理のアナログ管理を脱却すべくシステム導入の検討を開始し、9月下旬に要件整理と各社のシステムの仕様調査を行いました。そして11月にMOVO Vistaを選定。デモ運用を開始し、システム改修依頼及び効果測定検証を行いました。その後 2021年4月には、西日本輸送管理センターで取り扱う全ての輸送を対象にMOVO Vistaの実運用を開始しました。

MOVO Vistaの導入により車両受発注や発注書の作成、請求業務がデジタル化され、その結果、月間45時間、年間540時間の作業時間の削減に成功しました。これは全体の約75%を占める数値です。

また、導入後は入力対応頂く輸送パートナー様とも連携し改善を重ねてきました。1日100件以上の案件データをMOVO Vistaに入力する必要がありましたが、操作性に課題がありました。更新情報の一括登録が不可な点や、金額の確認/合意作業が案件毎に発生する点、頻繁に起こる画面遷移による作業効率低下が課題でした。

当社では、これらの課題をリスト化し、Hacobu社との定例会議で、MOVO Vistaの改修依頼と運用改善を進めました。

実運送体制管理簿の作成の義務化に向けてMOVO Vistaを全拠点に拡大

才本様:2024年5月に公布された改正貨物自動車運送事業法において、2025年4月1日より元請事業者に対し実運送体制管理簿の作成が義務化されます。実運送体制管理簿とは、実運送事業者の名称や請負階層、配送する貨物の内容や区間などを記載したものです。多重下請構造の可視化を図ることが目的で、元請事業者が真荷主から受託した運送業務を下請けに出すときに求められます。

当社では、2024年の夏頃から実運送体制管理簿の作成について意識し始めました。やや遅いスタートでしたが、MOVO Vistaでは2024年2月に実運送体制管理簿を出力する機能が実装されていました。配送案件の依頼情報から実運送体制管理簿を簡単に出力することが可能であるため、この機能を活用して対応を進めることにしました。

実運送体制管理簿の作成には、便ごとの運送区間、貨物の内容、実運送トラック業者の名称、請負階層情報が必須です。MOVO Vistaでは、配送案件やドライバーを登録する際に荷主企業名や請負階層を登録でき、実運送体制管理簿に必要な情報を、配送案件依頼のやり取りのなかで登録することが可能です。どの実運送事業者にどのような配送案件を依頼したかを一覧で把握でき、ボタン操作一つで実運送体制管理簿をExcelで出力できます。

2021年の導入時では西日本輸送管理センターのみでの導入でしたが、実運送体制管理簿の作成の義務化への対応に向けて、2025年1月より東日本輸送管理センターにもMOVO Vistaの導入を開始しました。これにより、全国15カ所の物流センターにおいて、輸送管理業務の効率化だけでなく、法令遵守の実現を目指しました。

2025年2月末に東日本輸送管理センターにおけるMOVO Vistaの導入は完了し、4月より義務付けられる実運送体制管理簿の作成への準備を万全にしました。

運用してみると、データの抜け漏れは当然あります。例えば請負階層や荷物名が入っていなかったり、抜け漏れだけでなく入力間違いがあったりもします。いまは1週間に1回の頻度でMOVO Vistaのデータを確認して正したのち、正しい入力を促すよう周知し抜け漏れや入力ミスがないようにしています。

また、実運送体制管理簿の作成については、いつまでに作らなければならないという決まりはありません。各社でルールを決めて運用していくことが重要になると思っておりますので、弊社ではデータの精度を保ち、活用できるようにするためにも、「10日以内にデータを確認・整備する」というルールを制定し運用しています。

下請け構造の適正管理が元請けに求められる第一歩の改定

才本様: 従来、下請け構造による適正管理については、輸送パートナー様が担っていました。しかし今回の法改正は、下請け構造による適正管理が輸送会社ではなく元請けに求められる第一歩の改定だと考えています。輸送事業を担う者として、10年、20年後も物流を回すことが重大な任務です。

また、適正管理を行うことで輸送発注の適正化にもつながると考え、現在は MOVO Vistaを使った請負階層の分析も進めています。ここからさらに便ごとに深掘りし構造を把握したうえで、さらなる輸送発注適正化を進めていきたいと考えています。当社の企業理念でもある「世の中の“はたらく人”すべてに『よろこび』や『感動』をお届けする」ことに、全力で取り組んでいく所存です。

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