壮大な計画を前に自信が持てず、着手できなかった
Q. Hacobu ACADEMY受講前の課題や背景について教えてください
佐藤典大様(副社長):
以前から、東北地方の人口減少や地方衰退の流れが生じる将来に向けては、弊社の物流の構造を見直さなければ、持続可能な物流環境の整備も進まず、得意先様に対するサービスの維持・発展が困難になってくるのではないかという不安を抱えていました。それらの不安を解消するアイデアをもとに、以前あるコンサル会社様に整理いただいた計画があったのですが、壮大でやるべきことが多岐にわたり、現状の環境では検証が出来ない部分も多く、経営陣にも必要性を説明しきれずにおりました。
物流の構造を変えようとすると、物流だけでなく、お客様へのサービスや社内のオペレーションから見直す必要があり、全社的な取り組みとなります。実施するとなれば非常に大きな変更を伴うため、確かな必要性の検証を行う必要がありました。
当時の弊社には各部署にまたがって把握や検証に取り組む体制がなかったため、まずは、このプロジェクトをやり切るための体制の構築を進めてきました。
久保田様(物流):
計画案には総論賛成ではあるものの、自社に当てはめたときにどんなインパクトがあるのか、腹落ちさせることができませんでした。また、卸にとって物流を変えることは大きな判断であるため、会社として正式に進めてよいのか、半信半疑でもありました。プロジェクトを進めることに確信が持てるようになるにはどうしたらいいのか、模索していました。
佐藤典大様(副社長):
体制が整ってきたタイミングで、Hacobu ACADEMYのWebセミナーに参加する機会がありました。Hacobu Strategyの佐藤さんが提唱していたデータサイエンティストと物流現場の協力、連携の必要性に深く賛同し、Hacobuに相談したのが始まりです。

Q. Hacobu ACADEMYを選択した理由を教えてください
佐藤典大様(副社長):
Hacobuの佐藤さんとは、以前にもお話をさせていただく機会があり、大掛かりな物流改革のプロジェクトのご経験をお持ちで、抱えている課題を解きほぐすアドバイスをいただけると期待した点が大きかったです。実際に、佐藤さんや鶴田さん、丸山さんからは、大規模プロジェクトの進め方や留意点、どのようなデータを活用して仮説検証していくべきかといったアドバイスを的確に教えていただきました。実務経験も豊富で物流にも精通している方々からのお話には信頼感がありました。
弊社の状況や要望を汲み取ったプログラムに組み立てて提案いただいたこともあり、Hacobu ACADEMYを受講することを決めました。
以前からHacobu Strategyというサービスがあることは知っていましたが、敷居が高く相談しにくいイメージがありました。Hacobu ACADEMYは比較的安価にスキルや知識を習得できるということで、相談しやすかったというのもあります。
プロジェクトの目的を確認し、「物流は経営戦略」との共通認識を持つ
Q. Hacobu ACADEMY受講の感想や学んだこと、成果を教えてください

佐藤良幸様(物流):
丸山さんから説明いただいた「ロジスティクスピラミッド」を用いた講義は、受講者である各部門の責任者のベクトルを合わせ、意識改革する上で大変有効でした。 我々が今後直面するであろう課題は多岐にわたります。全社で対応していくには、全員が図の最上部にある「顧客サービス」に対して同一の目的を持ち、そこから構造レベル・機能レベル・導入レベルと検討を進めることが重要であることを学びました。
これまでは、物流を事業戦略の一部として事業部単位で考えていました。 今回のHacobu ACADEMYで、事業の根幹である「顧客サービス」の見直しに対して同一の考えを持てたこと、そして、物流はその「顧客サービス」から導かれた経営戦略であるということが全員の共通認識になったことが何よりも大きな成果です。

相原様(営業担当役員):
私としては、物流が大きく変わっていることを知ることができたのが大きな成果でした。物流のデジタル化や法令制度における変化、また今後も大きく変化していくことを知ることができました。 東北地方における食品卸No.1として、お客様への貢献度を高め、商圏の深耕拡大を図ることを今後10年の目標として掲げてきましたが、ドライバー不足にはじまる物流の課題を考えると、現状のままでは困難です。
これまでは営業として、お客様とお話する中でいただく課題に基づき営業活動をしてきましたが、物流サービスの維持が困難になることを踏まえると、持続可能な物流を意識した営業活動をしていかなければならないと考えるようになりました。
伊藤様(商品):
自分自身の物流に対する知識が深まったことを肌で感じています。物流2024年問題を前に、仕入先からはリードタイムの延長やロット数の変更の話が増えていますが、これらに対応・交渉するための理論武装ができるようになりました。
各営業所の仕入担当にも今回のHacobu ACADEMYの内容を共有しています。2030年に向けて、仕入先のリードタイム情報の一元管理や、営業所間での情報連携を強化し、サトー商会としての交渉、対応ができる体制を整えつつあります。
自分たちで作り上げた2030年に向けての道しるべ(事業計画)
水尾様(IT):
オペレーションが複雑化する状況において、ITの視点では、単純に効率化を追い求め、1ヶ所に集約するという発想を抱きがちです。しかし、今回のHacobu ACADEMYで、サトー商会のこれまでのお客様に寄り添ってきた多様なサービスの強みと、効率化の両軸の視点からバランス良く考えていくことが大切だと考えるようになり、視野が広がりました。
Hacobu ACADEMYでは、2030年に向けた実施計画案を作成しました。この計画案が私にとって唯一の「道しるべ(事業計画)」であり、遅れを取らないよう取り組みを開始しています。この「道しるべ(事業計画)」を作れたことが何よりの成果だと感じています。 この実施計画案は経営トップにも説明しています。これにより、会社として正式なプロジェクトとなり、プロジェクトを牽引していく覚悟ができました。
種市様(IT データ活用):
物流領域の経験がなかったため、受講当初は、2030年に向けどのようなデータが必要になるのか検討がつきませんでした。受講を重ねる中で必要なデータについて理解が深まり、同時にその必要なデータが十分に取得できていないこともわかってきました。
今回の受講で、2030年の目標を実現するために必要なデータや、整備すべきことが明確になりました。 また、プロジェクトメンバー全員のベクトルを合わせられるようになったため、データにおいても共通認識を持てるようになりました。以前は、各部門で必要なデータが生じた時に「なぜそのデータをとるのか?」ということから説明する必要がありましたが、スムーズに話ができるようになりました。
久保田様(物流):
講師の経験に基づいた話や資料が非常に参考になりました。研修の内容から派生して出てくる実務的な疑問にも都度アドバイスいただいたことが今も活きています。 例えば、物流KPIの設定や、データ分析の考え方などです。また、現状蓄積しているデータの信憑性が課題のひとつですが、これからデータでものごとを判断するとなった際に、その信頼性を考えなければならないことにも気付かされました。
大規模プロジェクトをやり切る覚悟と一緒に進める仲間づくりができた

Q. 今後の展望を教えてください
相原様(営業担当役員):
物流視点を捉えた上で営業活動を行っていく必要がありますが、営業部門にどのように浸透させていくか、お客様に物流の変化をどのように伝えていくかが課題になると感じています。物流の現状や物流が及ぼす影響を理解し、腹落ちさせていかなければなりません。 それには、サービス設計や仕入〜受注処理までのオペレーション設計、それに伴うシステムの変更を段階的に進めていく必要があると考えています。
また、物流部門に協力してもらい、営業部門に対する物流に関する勉強会を取り入れる予定です。2024年度の計画にも盛り込み、スタートを切りたいと思っています。現場を巻き込まないと進まないため、体制づくりにも尽力していきます。
久保田様(物流):
これからの未来では、人口減少や物流費の高騰、付け加えて弊社においては、建物の老朽化に伴う建て替え、といった問題が待ち受けております。Hacobu ACADEMYを通して、今までのやり方ではこれらの問題に立ち向かえないというメンバー間での共通認識と、説明する手法が得られました。
2030年に向けた計画では、関連会社も含め10拠点でDC物流を行っている現在の構造を、徐々に中央物流センターに一定の割合を集約させていくことで、物流現場の労働環境を改善し、効率性を高めて相対的な物流コストの抑制を実現することが目標です。一方で、BCPの観点からは分散させた方が良いのではないかという意見もあります。そういった点も含め、これまでプロジェクトメンバー全員で意見を戦わせてやってきた自負がありますので、これからもメンバー全員で議論しながらベクトルを合わせて進めていきたいと考えています。
私たちの世代が問題から逃げることによって、将来世代への負担になります。お客様に貢献し続け、なおかつ働きやすい職場環境を実現できる、未来のサトー商会を作りたいと思っています。
佐藤典大様(副社長):
参加したメンバーからの話を聞き、熱いものがこみ上げてきました。「Hacobu ACADEMYを受講して良かった」と心より感謝しております。
Hacobu ACADEMYを通して、大きな構造改革に求められるポイントを整理し、データ検証の手法に基づき納得度の高い「道しるべ」を策定して、社長へのプレゼンを実施しました。大筋の合意を得られたことで、ようやく前進するための準備ができました。
受講する中で、メンバー間の連携や、取組みへの機運も高まり、非常にありがたい経験をさせていただいたと感謝しております。 2030年の計画に向けてしっかりやっていかなければならないと感じていますが、あまり気負い過ぎることなく、雪だるまが転がりながら大きくなっていくように、周囲の納得感を取り付けながら、丁寧に滑り出していきたいと考えております。
