株式会社サンリツは、梱包事業を軸に、運輸事業、倉庫事業など、物流業務を総合的にサポートしている企業です。
電子部品や半導体製造装置といった航空貨物の輸出を主に扱っている成田事業所では、車両の荷待ち時間削減に向け、物流DXの推進に力を入れています。2022年には、業務改善プロジェクトを表彰する社内コンテストで優勝されました。物流DXに向けた取り組みや、受賞の詳細をご紹介します。
30年以上の歴史を持つ社内コンテスト
2022年12月、サンリツ成田事業所は、トラック予約受付サービス「MOVO Berth」の導入による物流DXの取り組みが評価され、「業務改善発表大会」で21件の応募から1位を獲得しました。「業務改善発表大会」は、安全意識・目的意識・問題意識を持って業務に取り組み、業務の質を向上させることを目指して行われているサンリツの社内コンテストで、30年以上の歴史を持ちます。
荷待ち車両により渋滞が発生し、コスト増に
サンリツ成田事業所は、5つの倉庫を運営し、電子部品や半導体製造装置などを取り扱っています。近年の半導体製造装置の需要の伸びによって、搬入貨物が増加していました。
貨物量の伸びにより発生した課題が、荷待ち車両による渋滞とコストの増加です。到着順に荷物の積み下ろしができることから、朝の時間帯に車両が集中していました。倉庫前の一般道に20〜30台トラックが並んでしまい、一般車両の通行の妨げとなり、近隣住民からのクレームも出ていました。また、荷待ち用のスペースを借りるための費用に加え、荷待ち車両の誘導や警備ための人件費もかかり、コストが嵩んでいました。
「物流2024年問題」が差し迫るなか、荷待ち時間の削減は、サンリツ成田事業所にとって避けられないものでした。
トラック予約受付サービスで、荷待ち車両が皆無に。年間約530万円のコスト削減も実現
そこでサンリツ成田事業所が導入したのが、トラック予約受付サービス「MOVO Berth」です。
事前予約によって車両の入庫時間が分散したことで、倉庫前の一般道での荷待ちは皆無となり、近隣住民からのクレームもゼロになりました。
ドライバーからも、「予定が組みやすくなった」「入構までの荷待ち時間が無くなった」「予約する事によって、時間の有効活用が出来るようになった」
といった、喜びの声をいただきました。
さらに、予約により大口貨物の入場時間が事前に把握できたことで、荷下ろしをするためのスペースを事前に確保できるようになりました。また、作業状況が可視化されるため、状況に応じた人員配置が可能になり、荷下ろしが完了するまでの時間も削減されました。現場の負担が軽減されたことも大きな成果です。
費用面でも効果がありました。MOVO Berth導入後は、荷待ち車両の誘導のために、警備員を増員する必要がなくなり、人件費を削減することができました。MOVO Berthの導入費用と相殺しても、費用対効果は年間約530万円と試算されます。コスト削減・業務効率化の取り組みが、「業務改善発表大会」で高く評価されました。
新倉庫建設に向け、さらなる物流DXを推進
成田事業所は、2026年には新倉庫の建設を予定しています。さらなる取り扱い輸送量の増加を目指し、物流DXを取り入れていきます。現在予約率は65%ですが、目指すのは予約率90%です。そのため、警備員によるドライバーへの声掛けや、荷主への協力依頼を強化していきます。また、優先的に予約車両を荷下ろしするなど、予約を促進するルールや環境を作っていく予定です。
「新倉庫でもバース予約管理システムを導入し、荷待ち車両を発生させないように取り組んでいきたい」と、サンリツの永井 康仁 成田事業所長は意気込んでいます。