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【表彰事例】ヤオコー サプライチェーンイノベーション大賞2021 優秀賞

株式会社ヤオコーは明治23年に創業し、首都圏を中心に約200店舗のスーパーマーケットを展開しています。小売業界では、少子高齢化に伴って労働力人口が減少する中で、DXツールの導入によって省人化や業務効率化に取り組む企業が増加していますが、ヤオコーも先進的な取り組みを行う企業の一つです。物流DX推進に向けた取り組みや、受賞の詳細についてご紹介します。

ヤオコーの物流DXに向けた取り組み

ヤオコーは、物流センターを起点とする配送効率化と返品削減の取り組みについて、経済産業省の「サプライチェーン イノベーション大賞2021」における優秀賞と食品ロス削減特別賞を受賞されました。

同賞を受賞した理由として、バース予約受付管理システムの導入による納品車両の待機時間低減による製・配・販協働での配送効率化の取り組んだことと、店舗納品の鮮度管理基準を「3分の1ルール」から「2分の1ルール」へ変更した返品削減の取り組みが評価されました。

経済産業省 サプライチェーンイノベーション大賞とは?

国内におけるサプライチェーン全体の最適化に向け、製造メーカー(製)・卸売業(配)・小売業(販)各層の協力の下、優れた取組を行い、業界をけん引した事業者に対しその功績を表彰するものです。 2020年から、特に食品ロス削減に資する事例に対して「食品ロス削減特別賞」を併せて表彰しています。

出典:https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/shh_scitaisyou.html

バース予約受付管理システムの導入による納品車両の待機時間低減による製・配・販協働での配送効率化の取り組み

目前に迫る物流の「2024年問題」や、2023年6月に政府が発表した「物流革新に向けた政策パッケージ」の影響によって、トラックの待機削減問題が大きく取り上げられています。ヤオコーは2018年から本課題の解決に向けて本格的に取り組まれています。

ヤオコーはシステムの導入ありきではなく、課題整理とボトルネックの発見に注力されています。

各種センターの情報や与件、作業等のデータを分析し、改善活動に着手し、受付作業や接車誘導などの改善活動から各種課題やボトルネックを明確にした上で、2020年に課題解決を進めるためのシステムの選定を行い、バース予約管理システム「MOVO Berth」を、全センターに導入いただきました。

システム導入前から課題やボトルネックが明確になっていたため、導入初月から、待機時間の低減を実現されました。導入から2ヶ月後には、1時間超過の待機件数をほぼ0にすることに成功されました。

店舗納品の鮮度管理基準を「3分の1ルール」から「2分の1ルール」へ変更した返品削減の取り組み

食品流通の業界では、古くから3分の1ルールと呼ばれる食品管理の仕組みが存在します。3分の1ルールとは製造日から賞味期限までの合計日数の3分の1を経過した日程を納品可能な日とし、3分の2を経過した日程までを販売可能な日(販売期限)とする商慣習的なルールです。

このように厳格な食品管理が求められてきましたが、3分の1ルールでは食品ロスの観点から大きな問題が2つありました。1つは納品期限です。メーカーや卸から小売りに出荷する際の納品期限が過ぎてしまった場合、賞味期限を満了せずとも返品、破棄が行われてしまうことです。

2つ目は販売期限です。消費者が購入できる期間が結果的に2分の1ルールと比較して短いことです。

ヤオコーでは、商品部、物流センター協力の基鮮度管理基準を「3分の1ルール」から「2分の1ルール」へ変更することを決定しました。2年間の検証を経て、2019年4月1日より全体での導入を行い、鮮度撤去実施件数、入荷依頼数など減少させることに成功されました。

ヤオコーにおける物流DXツール「MOVO」の活用

ヤオコーでは、トラック予約受付サービス「MOVO Berth」をご活用いただくことで、納品車両の予約率(各物流センターで約85%以上の予約実績)が向上し、納品時間帯の分散化、車両呼び出し時のタイムロス削減、受付時間の可視化がなされ、納品車両の待機時間の大幅低減を実現しています。

また、ヤオコーは、2023 年 3 月にも首都圏で店舗展開するスーパーマーケット 3 社と共に、「物流 2024 年問題」をはじめとする物流危機に対し、持続可能な食品物流構築に向けた具体的取組みを行う宣言と合わせ『首都圏 SM 物流研究会』を発足しております。その取り組みが評価され、「サプライチェーン イノベーション大賞2023」において、「優秀賞」を受賞されています。

そして、このようなDXによる物流の社会課題解決に向けた取り組みが、ますます加速することを願いつつ、Hacobuは今後も物流DXを支援してまいります。