
創業 140 年の老舗企業が直面した、港湾物流の 2024 年問題
Q. MOVO Vista 導入の背景や導入前の課題を教えてください
繁谷様: 当社は 1877 年に創業し、140 年以上国際物流を担っています。車両課はその中でも主に輸入業務を担当し、貨物が港に届いてからコンテナをお客様の指定場所にお届けするドレージ輸送などの配車業務を行っています。京浜港で取り扱う製品は白物家電が多く、その他は日用品や雑貨、玩具なども取り扱っています。

京浜営業二部 部長 繁谷英行様
梅田様: 車両課はここ 5 年くらいでできた部署です。配車業務に関して、車両課ができるまでは業務担当者がバラバラに手配をしていました。それを車両課でまとめる運用にしたのですが、それでも工数がかかる仕事だったので、可視化と一元管理を進めたいという思いがありました。
繁谷様: DX やシステム導入を検討し始めたのは、「2024 年問題」が大きなきっかけです。東京港や京浜港の車両待機は大きな問題になっていて、1 本のコンテナを取るために何時間も並ばなければいけないのが現状です。労働時間に関しても規制が強まる中で、実運送体制管理簿などの提出物も増えていきます。旧来のアナログなやり方では法改正に対応しきれないうえに、自分たち自身の労働時間もどんどん増大してしまうという危機感がありました。
また、我々は利用運送事業なので、後藤回漕店の業務を請けることに何か魅力がないと、将来的に運んでくれる人がいなくなってしまうのではという課題感もあります。法改正にしっかり対応したうえで、協力会社さんに最適な価格で運んでもらう。それを徹底するためには現状の把握から始めなければならないと考えました。港湾業界は古い体質の業界ではありますが、時代に適応していくためには DX が必須だと思い、システム導入を検討し始めました。
他ベンダーと 1 年かけたシステム開発を断念 壁は「ドレージ配車の複雑さ」
Q. MOVO 導入前は、どのような課題があったのでしょうか?
南郷様: 以前の配車業務は電話やメール、FAX を使っていました。コンテナのサイズや重さ、配送日時、行き先などの情報を協力会社に伝えて配車依頼をし、仮予約してから正式依頼の FAX を送る、という流れです。

京浜営業二部 車両課 係長 南郷茂和様
ドレージの配車は複雑です。コンテナは 40ft と 20ft があり、サイズによって使用する道具が変わります。トラクターヘッド(牽引車の前部分)はサイズを問わないのですが、シャーシ(台車・骨組みの部分)はコンテナサイズによって変わるので、付け替えが発生します。また、重量が大きいと軸を増やす必要があるため、重さも重要な情報になります。さらに、天候不順で船のスケジュールが遅延したり、急なキャンセルが発生したりすることが非常に多いので、関係者へのタイムリーな情報共有が求められます。
繁谷様: 当初は他ベンダーとのシステム開発を検討していて、1 年弱ほど時間とお金をかけて進めていました。しかし、実運用には至りませんでした。
梅田様: ドレージ配車特有の複雑な要件や情報の優先順位がうまく伝わらなかったことが要因です。SE の方に丸 1 日来ていただいて私たちの仕事を見ていただき、「こういう風に使いたいんだ」と伝えたのですが、普段物流に触れていない人にはわかりづらい領域だったようです。結果として、実務で使えるシステムには至りませんでした。
Hacobu の物流業務への深い理解と伴走支援が決め手に
Q. そこから、MOVO Vista を選択した理由を教えてください
繁谷様: トラック予約受付サービス「MOVO Berth(ムーボ・バース)」のセミナーに参加した際、後半のパートで MOVO Vista の紹介があったんです。それを聞いて、「私たちがやりたかったことが集約されているじゃないか!」と。
色々なベンダーの営業の方が来られて、最初はすごく良いことを言われるんですが、実際スタートするとコミュニケーションが難しくなることが多かった。やはり汎用ツールでの開発は、物流に詳しい SE の方がいるとは限らないので限界を感じていました。
しかし、Hacobu さんは決定的に違いました。物流やドメイン知識の理解が深く、専門用語や法対応など業界特有の課題に対して共通理解がある。Hacobu の営業さんは最初の相談から導入後の今に至るまで寄り添ってくれて、細かい仕様も思った通りの形にしてくれました。導入後に担当してくれたカスタマーサクセスの方も改修対応がものすごく速かった。製品要件にも必要な機能がきめ細やかに反映されていて、そこが他社とは違いましたね。

梅田様:社内の基幹システムとの連携ができるのもありがたかったです。当初は営業部門が基幹システムに入れた情報を、MOVO Vista にも手入力して協力会社に展開する想定だったのですが、営業サイドからすると「同じ内容を二度打ちしなきゃいけないのか」と拒否反応がありました。我々が対応したとしても月に 1,500 件も手入力していたら、電話とFAX の工数を削減したのに入力の工数が増えてしまう。
それを Hacobu さんに相談したところ、基幹システムの情報を吸い上げて MOVO Vista に展開できる仕組みを作っていただけました。同業他社さんでも社内の基幹システムを持っているはずなので、この仕組みは絶対に喜ばれると思います。
配車業務の工数を 40%削減 社内評価を受け本社でも利用開始
Q. MOVO Vista 導入後の成果を教えてください
梅田様: 車両課では 1 日あたり 70~80 件の配車依頼を行っていますが、オーダーを送る発注業務の部分で約 40%の工数削減になっています。入力作業はもちろん発生しますが、その後プリントアウトして、席を立って FAX を送って、メールを飛ばして……という作業がなくなった、ペーパーレスの部分が一番大きいです。
小田様: 私は MOVO Vista への情報登録の実務を担っています。具体的には、営業部門が基幹システムに入れた情報から必要なデータを取り出して、MOVO Vista に展開する作業です。担当者などを追加で入力することはありますが、基幹システムから MOVO Vista にデータをそのまま展開できる仕組みを作っていただいたので、手入力しなくても良いところが非常に助かっています。

京浜営業二部 車両課 小田舞波様
南郷様: 協力会社にメリットが生まれていると思います。今まではお互いの予定表を参照して、オーダーが来ているか、送り状が来ているか、一つひとつチェックしていました。それが MOVO Vista を見れば一目で分かるようになりました。
協力会社さんの既読の反応や受領状況がリアルタイムで分かるのも大きいですね。ステータスが画面上でわかるので必要以上に電話連絡をすることがなくなりました。問い合わせも減っています。これまでは電話で「車番は何番?ドライバーさんの携帯番号は?船はいまどこ?」といちいちやり取りしていたのが、MOVO Vista 上で確認できるようになりました。
繁谷様: 全社会議で「MOVO Vista を使ってこれだけ工数が削減できている」と報告したところ、社内の関心が高まり、関西の本社でも導入することになりました。本社は扱う件数が倍以上あるので、より大きな効果が見込めると思います。
また法改正への対応という観点でも、MOVO Vista を入れておいて本当に良かったと思います。実運送体制管理簿の作成など、年々ルールが変わっていく中で、Hacobu さんがシステムをアップデートしてくれるのは安心感があります。自分たちで作っていたら、その都度時間とお金がかなりかかっていたはずですから。

アナログ文化の港湾業界で進める DX 丁寧なサポートが鍵に
Q. 苦労した点や工夫した点などがあれば教えてください
梅田様: 協力会社様への浸透が一番の課題です。現在 MOVO Vista での配車・発注を行っているのは 11 社ほどですが、進捗具合は様々。やはり港湾業界は古い体質の会社が多く、電話や FAX が常態化しているため、「システムを使って効率化する」という発想があまり育ちにくいのが現状です。
南郷様: なかなかシステム利用が進まない協力会社には、電話をしてお互い同じ画面を見ながらサポートしています。対面で説明しに行くとかえって質問しづらいこともあると思うので、困っているタイミングで先方のペースに合わせて根気強く説明します。
既に活用が進んでいる協力会社からは、「使ってみると意外といいよね」「今まで一番時間がかかっていた、翌日の予定や必要書類のチェックの確認が一目でわかるので楽になった」という喜びの声が上がっています。さらに、ドライバーさんもシステム上で行き先や軒先での注意事項をすぐに確認できますし、毎月の請求突合も楽になり、入金漏れを防ぐことにも繋がります。
今はまだシステムに慣れてもらっている段階ですが、他の協力会社にもこの状態になってもらえるよう、引き続きサポートしていきたいです。
協力会社との関係を深め、さらなる業務展開へ
Q. 今後の展望を教えてください
繁谷様: 将来的にはドレージだけでなく、トラックの手配の業務にも展開していきたいです。ドレージと比べて件数は少ないですが、一度にまとまった手配をすることも多いので大いに役立ってくれるはずです。
梅田様: これからさらに期待しているのが「請求・支払い処理」です。今後は MOVO Vista からデータを取得し基幹システムに入れる運用にしたいと考えています。1 コンテナあたりの細かい明細は MOVO Vista 上で確認し、合計金額だけを基幹システムと突合するイメージです。一部の会社とはテスト運用を始めており、早速成果が出ています。これが全協力会社とできるようになれば、おそらく 80%以上の工数削減になるのではと期待しています。

京浜営業二部 車両課 課長 梅田宗夫様
また、協力会社さんの中には、事務担当の方が必ずしも IT ツールに慣れているわけではなかったり、経営者自らがトラックのハンドルを握りながら配車業務をこなしていたりというケースもあります。「これを使ってください」と無理強いするのではなく、相手の忙しさや事情を汲み取りながら、使いやすい形を一緒に模索していくことが直近の課題です。長年慣れ親しんだやり方があるので丁寧なコミュニケーションが必要ですが、パートナーとして寄り添い、双方が Win-Win になる環境が出来上がったら、また新しい景色が見えると思っています。
南郷様: 私も、まずはどんな協力会社さんでも使いやすい状態にすることが先決だと考えています。いまお付き合いがある協力会社さんとのグリップを強めることはもちろん、今後は新たなパートナーにも広げていきたいですね。それが結果的に、会社全体の拡大につながっていくと思います。


