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多様な荷物、多様な現場。その壁を越える「共通言語」 DNPロジスティクスの物流データ活用への挑戦

導入製品
MOVO Berth, MOVO Vista
会社
株式会社DNPロジスティクス
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株式会社DNPロジスティクスは、大日本印刷(DNP)グループの物流子会社です。これまで同社は、グループ各事業の物流を支える役割を担ってきました。しかし近年、紙媒体の縮小や住宅着工数の低下などを背景に、DNPグループの事業構造は大きく変わりつつあります。扱う製品の領域が広がる一方で、従来の主力領域では荷量の減少も起きており、物流子会社としての事業のあり方も見直しを迫られていました。

こうした中、同社はDNPグループ物流を支える役割にとどまらない、物流会社としてのポートフォリオ変革に挑戦しています。流通加工や温度管理、BPO機能の強化に加え、新たな領域にも取り組みながら、培ってきた物流の強みをグループ外にも広げていこうとしています。

その中で同社が注力しているのが、既存事業や新たな成長領域からの要請、さらには法改正を背景としたコンプライアンス強化にも対応する業務革新です。改革を進める中で見えてきたのは、部門や拠点をまたいで議論するための「共通言語」の重要性でした。DNPグループの事業変革の中で物流の役割をどう再定義し、どのように改革を進めてきたのか。代表取締役社長・松村弘之氏にお話を伺いました。

※本記事はHacobu主催イベントでの講演内容をまとめたものです。掲載内容は全て講演時(2026年2月)の情報に基づいています。

本記事の
ポイント
  • DNPグループの事業環境の変化を受け、物流子会社の役割を「運ぶ機能」から「価値を生む機能」へ再定義
  • DXを起点に物流データを可視化し、部門や拠点をまたいで議論できる環境を整備
  • その前提として紙での管理の見直しなど、アナログな現場の地道な業務改善も推進
  • データ共有を通じて本社・製造部門との連携が進み、DNPグループ横断の物流改革が始動
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時代や事業の変化に対応するため、物流機能も変革へ

DNPグループの事業構造が変わる中で、私たちも物流の役割を見直さなければならない。この思いが改革の原点にあります。紙媒体の減少や住宅着工数の低下などにより、私たちがこれまで当たり前に運んできた荷物は変化しています。一方、コンテンツ関連ビジネスやメディカルヘルスケアといった領域では事業が拡大しています。当社は3つのセグメント、8つの事業部すべての物流を担う、どの部門にも属さない立場の会社です。だからこそ、単に「運ぶ」だけでなく、グループ全体の物流を横断的に見直し、工場間転送や輸送方法も含めて事業全体の最適化に貢献していく必要があると考えました。

さらに今後は、DNPグループ内の物流を支えるだけでなく、これまで培ってきた物流の知見を活かし、新しい価値を生み出していくことも重要だと考えています。さまざまな業界や製品に対応してきた経験は、他の領域の物流にも応用できる可能性があります。そうした強みを活かしながら、物流会社としての役割をさらに広げていきたいと思っています。

そのためには、既存事業や新たな成長領域からの要請、さらにはコンプライアンス強化にも応えられる物流体制へと業務を革新していく必要があります。ただ、こうした改革を進めるうえで大きな課題となったのが、扱う品目があまりにも多様で、共通言語を作ることが非常に難しかった点です。出版からエレクトロニクスまで幅広い分野を担っているため、荷物の大きさも、形も、重量も、温度管理の方法もそれぞれ異なります。DNPの生産拠点に併設された23拠点と独自センター10拠点があり、それぞれの現場で独自のやり方を続けてきました。さらに、多くの製品はお客様の仕様に合わせて作られるため、需要を予測するのが難しい。納品に必要な情報も直前まで決まりません。製造側では「ジャストインタイム」を前提に仕事が組み立てられており、そのやり方を大きく変えることに、慎重な空気もありました。こうした状況において、部門や拠点をまたいだ話し合いの前提には、超えるべき壁がありました。

同じ情報・同じ数字で話せる環境をつくる。DXは「共通言語」づくりの第一歩だった

DNPロジスティクス 代表取締役社長 松村弘之氏

改革を進めるにあたり、まずDXを進めていこうと考えました。物流の状況をデータで把握し、これまで見えにくかった業務の実態を共有できるようにするためです。

その取り組みの一つとして、トラック予約受付サービス「MOVO Berth(ムーボ・バース)を導入しました。バースの状況をデータとして把握できるようになったことで、物流の状況が可視化され、部門や拠点をまたいで同じ情報を共有できるようになりました。2025年の秋から約1年で、17拠点に導入しています。

MOVOの導入を通じて実感したのは、データをもとに議論することの重要性です。実際、荷待ち時間や荷役時間の短縮といった成果も出始めています。ただ、それ以上に大きかったのは、本社や製造会社と一緒にプロジェクトを立ち上げ、配車業務の適正化や法令対応に向けた業務改革に取り組めるようになったことです。MOVO Berthのデータを共有することで、これまでイメージや固定観念で語られていたことを、数字をもとに議論できるようになりました。その結果、本社や事業部の製造会社とのつながりも強まりました。

取り組みを進める中で実感したのは、改革には「共通言語」が欠かせないということでした。DNPグループの製品の多くは受注生産であり、業界も製品特性もさまざまです。そのため業務を一律の型にはめることが難しく、それぞれの現場のやり方が長年続いてきました。現場ごとに前提となる情報や数字が異なっていては、議論そのものがかみ合いません。同じ情報を共有し、同じ数字を見ながら話せる環境が不可欠だと気づいたのです。

さらに2025年12月からは、配車受発注・管理サービス「MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)も導入しました。背景には貨物自動車運送事業法の改正があります。多重下請けの状況を把握することや受発注の電子化が求められる中、業務の流れをデータで管理できる仕組みが必要だと考えました。当社は北海道から九州まで数百社の協力会社様とネットワークを組んでいます。こうしたパートナー企業との連携をより強め、新しい価値をつくるためにも、データを基盤に業務を可視化していくことが重要だと考えています。

できるところから一つずつ、現場に向き合う段階的な改革とAI活用

一方で、DXを進めていくためには、システム導入だけでなく現場業務のデジタル化も欠かせないと感じました。現場に目を向けると、まだ多くのアナログ業務が残っていました。例えば、ある工場では出荷に関わる納入伝票が1日1,500枚出ており、それを配車担当者が方面別に分け、さらにドライバーごとに仕分けて渡していました。こうした業務を見直すことも、物流の変革には欠かせません。

そこで、まず伝票の元データを製造会社と連携してデータ化する取り組みを進めました。1日1,500件の納入指示データを簡易なソフトで並び替え、ドライバーごとの配送指示リストを作成しています。こうした改善は一気に進められるものではありません。私たちだけで進められる部分もあれば、事業部グループ全体でのシステム変更が必要な部分もあります。大きな改革に挑戦する一方、「できるところから」一つずつ進めることも大切にしています。

その中で、配車業務の負荷を減らすため、AIの活用にも挑戦し始めました。荷物の量が減っても、配車の手間が比例して減るわけではありません。配車は依然として大きな負荷のかかる業務です。AIはまだ試験的な段階で、最後は人間の確認が必要ですが、それでも大幅な時間短縮につながる効果が見え始めています。こうして生まれた時間を使い、個人が新しい価値づくりにチャレンジできる時間を増やしていきたいと考えています。

「点」から「面」へ。すべての関係者に価値を届ける物流の仕組みへ

今後は、まず各拠点の強みを磨くこと。そして、その「点」と「点」をつなぎ、最終的には「面」として広げていくことを目指しています。システムの一斉導入を目指してもうまくいかないこともあります。だからこそ、まずは「共通言語」を作り、拠点同士を着実につないでいく。その積み重ねを大切にしたいと考えています。また、製造側とのつながりだけではなく、営業側との連携も深めて、お客様にもメリットがある輸送方法や付帯作業の提案もしていきたいですね。

最終的に目指しているのは、どんな時も「運べない状況」に陥らない安定的な物流です。その上で、中継輸送やエリア配送の強化、全国のパートナー企業様との連携を通じて、新しい物流の価値づくりにも挑戦していきます。お客様、パートナー企業様、DNPグループ、そして私たち。すべての関係者にとって意味のある仕組みを作りたい。小さな取り組みでも構いません。賛同いただける企業様とは、ぜひ一緒に挑戦していければと思います。

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