
属人化と分断構造がもたらしていた現場の限界
Q.MOVOを検討されたきっかけを教えてください

松本様:私は本社でBtoB販売物流の管理を担当し、全国の配車依頼や輸送管理を行っています。以前から課題に感じていたのは、配車業務と入出荷オペレーションが分断されていることによるオペレーションの非効率さや業務属人化です。
私たちの部署は北海道から沖縄まで全国エリアの販売物流をカバーしており、エリアごとに担当者が決まっています。配車依頼はメールやFAXなどエリアごとに方法が異なり、条件や運賃などの情報は担当者の頭の中にある状態でした。結果として、特定の担当者しか全体像が分からず、担当者が不在のときは何から手を付けていいかわからないという状態になっていました。
もうひとつの課題は以前の予約システム運用に対する運送会社からのクレームでした。予約システムを導入しているのに予約が取れないことは、配車依頼をする側と配車をする側の双方にとって大きなストレスで、日々の調整に時間を要していました。導入検討にあたりROIも当然意識しましたが、個人的にはこれらの定性的な課題解決の方が優先順位は高かったです。
川島様:以前の予約受付システムは先着順で予約が入る仕組みだったため、昼前後のコアタイムに車両が集中してしまい、待機車両が発生していました。待機場は5台分しかなく、溢れてしまうことも。また、予約枠にどの車両が入るかをこちらでコントロールできず、例えば奥の倉庫の荷物を積む車両が、手前の倉庫のバースに予約を入れてしまうなど、非効率な状況が生まれていました。「予約を柔軟にコントロールして、効率良い現場をつくりたい」という思いが強かったです。
また、現場では配車時の情報がわからず、どの車両がいつ来て何を積むのかが事前に十分把握できていませんでした。そのため、当日になってから商品を移動させるなど、突発的な対応が発生していました。配車(上流)と入出荷管理(下流)がつながっていなかったことが根本的な課題だったと思います。
遠藤様:待機車両が発生すると、その調整や説明対応に多くの時間を取られます。本来の出荷業務以外の「調整」が常態化していたのが、現場にとって負担になっていました。
転換点は「リプレイス」ではなく「一気通貫」という発想
Q.MOVOを選択した理由を教えてください
松本様:今回のポイントは、単なるバース予約システムのリプレイスではなく、「配車から入出荷までを一気通貫で改善する」という発想に立てたことです。MOVO VistaとMOVO Berthが連携していることで、配車依頼の情報がそのままバース予約に反映されます。人の手による転記が不要になり、情報の分断が解消されました。他社製品とも比較しましたが、最初から連携前提で設計されている点が決め手でした。
連携されているからこそ、車番連絡のFAXやメール、情報伝達のためのアナログ作業が運送会社と当社の双方で削減されます。お互いがメリットを享受することで導入の理解も得やすいと考えました。「配車業務から紙を失くせるのでは?」と期待が持てたこともポイントです。

物流部 広域物流課 主任 松本 将一 様
川島様:以前はランニングコストの安いシステムを使っていたため、リプレイスには慎重な声もありました。そこで松本が中心となって工数削減効果などを試算。上流と下流をセットで改善できる点を踏まえて効果を試算し、十分な投資回収ができると判断しました。
遠藤様:機能面では、MOVO Berthの画面の見やすさが決め手でしたね。以前は予約枠の設定画面と確認画面が分かれていて使いづらかったのですが、MOVO Berthは一つの画面(バース表)でパズルのように予約を動かせる。これなら他のスタッフでも直感的に操作できると感じました。
配車から請求確定まで、MOVOが情報をつなぐ
Q.現在の活用状況を教えてください
松本様:現在は、MOVO Vistaで配車依頼を出し、運送会社が入力した車両情報がMOVO Berthへ連携される仕組みです。これにより、配車情報と予約状況が常に一致した状態になります。その後の請求確定までシステム上で管理できるため、「言った・言わない」の確認もなくなりました。導入部署のほぼすべての配車を一元管理出来る状況になり、可視化という点で非常に優れていると感じます。
川島様:予約については、こちらで枠を割り当てる「拠点割当方式」で運用しています。運送会社から希望時間を出してもらい、倉庫の状況を見ながら最適なバースと時間をこちらで確定させます。当日はドライバーさんがタブレットで受付を行い、呼び出し通知を受けてバースに接車します。作業完了後もタブレットで操作するので、進捗状況がリアルタイムで事務所から確認できます。
遠藤様:現場では、前日の段階で翌日の予約状況が確定します。どのバースにどの車両が来て、何を積むのかが分かるため、事前準備が可能になりました。これは大きな変化です。

物流部 滋賀物流課 主任補 遠藤 丹美 様
導入初年度でROI160%超を実現 想定以上の効果が生まれた理由は
Q.導入後の成果について教えてください

松本様:導入前に効果試算を行っていましたが、実際にはそれを上回る成果が出ました。MOVO Vistaで管理している配車情報が、MOVO Berthに連携され予約受付までシームレスに情報が連携される。配車情報伝達のシームレス化によって年間約1,200時間の業務時間創出につながり、初年度でROI160%超を実現できました。「検討段階で完璧なROIを求めるのは難しい」という声もありましたが、実際に運用してみることで、想定以上の効果を数字で示すことができました。細かく定量化してみると、年間でそれだけの時間を情報伝達に割いていたことに驚きもありました。
予約に対するクレームと、配車情報伝達のためだけの紙やメールについても、導入後数ヶ月でほぼゼロの状態を維持しています。運送会社と当社双方で心的、時間的な余裕が生まれたように思います。
遠藤様:定性的な変化も大きいです。以前は休みづらい雰囲気がありましたが、誰でも使いやすいシステムで業務が平準化されたことで、チームでカバーできる体制になりました。心理的な負担が減ったことは、数字以上の価値だと思います。また、待機時間が減ったことで、運送会社やドライバーの方からも「スムーズになった」と評価いただいています。

丁寧な説明と巻き込みが改革を支えた
Q.苦労した点や工夫した点などがあれば教えてください
松本様:導入にあたっては、運送会社への説明会を行いました。やはり新しいシステムへの抵抗感を持つ方もいらっしゃいましたので、一回の説明会で終わりにするのではなく、個別に訪問して説明することもありました。実際に触ってもらうと「意外と簡単だね」「スマホでできるのは便利だね」と、すぐに慣れていただけることが多かったです。
また、両システムを連携させる前提での運用構築も選択肢が無限にあり、ゴール設定・マスタ設定していくだけでも一苦労でした。プロジェクトチーム全体の頑張りと運送会社の協力のおかげで、乗り切ることが出来たように思います。
川島様:社内的にも、最初は「データ分析なんて本当に必要なのか?」といった懐疑的な声もありました。コストが上がる分、シビアに見られていた部分はあります。しかし、松本が作成した定量・定性の効果試算がしっかりしていたことと、「人ひとり雇うより安い金額で、これだけの効率化ができる」という点を粘り強く説明したことで、チャレンジしようという方向でまとまりました。
MOVOを基盤にさらなる最適化へ
Q.今後の展望を教えてください
川島様:現在は主に出荷便でMOVOを活用していますが、仕入れ便などまだ導入できていない領域もあります。将来的には、工場に出入りするすべての車両をMOVOで一元管理し、全体の最適化を図りたいと考えています。

物流部 滋賀物流課 課長代理 川島 慎司 様
松本様:導入前は「投資に見合った効果を出せるか」という不安の声もありましたが、上流と下流をセットで改善することで、初年度でも十分に投資回収が見込めることが実証されました。将来的には基幹システムとも連携させる構想があり、それが実現すれば商品の内容や重量データが自動で反映され、より細かく的確な倉庫やバースの振り分けや、受付での車番記入の撤廃など、さらなるシームレスな環境構築に繋がるのではと期待しています。


