
MOVO Vistaとの連携でMOVO Berthの利用拡大に踏み出す
Q. プロジェクトの背景を教えてください
柴様: 関東事業所では、2019年に幹線便を対象にMOVO Berthを導入しました。当時はトラックが来ても積めない状況が発生しており、運送会社からは待機時間による運賃値上げの話が出ていました。加えて、ホワイトボードによる庫内作業のスケジュール管理に限界を感じていました。大型の荷物を扱っているため庫内のスペースがすぐ埋まってしまい、仮置きしたまま出庫を忘れることも。まずは幹線便から整えようと考え、MOVO Berthを導入しました。

オペレーション本部 オペレーション統括 北関東ブロック 関東事業所 所長 柴 聡充 様
手塚様: MOVO Berth導入で幹線便の待機問題は解消し、バース表でのスケジュール管理で庫内作業も整流化しました。この成果を受け、直送便にもMOVO Berthを拡大したいという意見があがりました。
当時は、配車担当が積み込み日時を決めMOVO Berthに予約情報として入力し、運送会社に通知する運用を行っていました。幹線便での運用をそのまま直送便に適用する場合、配車担当の事務工数が増えます。特に直送便は、毎回、配送する製品も納品先も異なり、かつ対象は全国各地です。そのため、事業所内の複数個所での積み込みが発生するなど出荷管理が複雑になりがちで、さらに事務工数がかる懸念がありました。
そのようなとき、Hacobu社から提案されたのがMOVO Vistaの導入です。これを機に、MOVO Berthの運用を、これまでの配車担当が予約情報を入力し運送会社に通知する方法から、運送会社自身が予約する方法へ切り替えることを決め、MOVO Vista導入・MOVO Berth利用拡大のプロジェクトがスタートしました。
配車業務の課題解決も ―MOVO Vista導入の「一石二鳥」に期待
Q. MOVO Vista導入の決め手は何でしたか
手塚様: 前述のMOVO Berth利用拡大に加え、ペーパーレスによる配車の業務改善にも期待がありました。以前の配車業務は、電話で運送会社と金額を決めて注文書に記入し、注文書をFAXで運送会社に送り、原本を紙で保管する運用でした。紙での管理が業務を煩雑にしていました。さらに配車は担当者ごとに管理しており、誰がどこにトラックを手配したか本人しか分からない。問い合わせがあっても注文書を見つけられなければ担当者を探すしかなく、完全に属人化していました。配車担当は20名ほどいますが、情報を集約して誰でも対応できる体制が必要でした。
MOVO Vistaならこの運用がクラウド上で完結し、ペーパーレスによる属人化解消が実現できます。また下請法の3条書面にも対応できる点は非常に魅力でした。
MOVO Berth拡大と合わせて配車業務の課題も解決できる。「一石二鳥」だと思いました。

オペレーション本部 オペレーション統括 北関東ブロック 関東事業所 主任企画員 手塚 英太郎 様
配車から請求、トラブル対応まで 情報集約のメリットを実感
Q. MOVO VistaとMOVO Berthをどのように活用していますか
山本様: まず配車担当は、配送車両を手配した後、手配内容をMOVO Vistaに入力して運送会社に送信。運送会社はMOVO Vistaから車両情報を登録しバースの予約を行います。MOVO VistaとMOVO Berthがシステム連携されているので、運送会社は、積み倉庫の情報や、出荷業務で使う「出荷受付番号」、MOVO Vistaへ入力した車両情報といった、積み込みに係わる情報がすべて入力された画面からバース予約ができます。
バース予約という運用を新たに運送会社へお願いする以上、同じ内容を入力する二度手間が発生しない仕組みである必要がありました。MOVO VistaとMOVO Berthは同じ会社のシステムなので連携が可能という点は非常にありがたかったです。
配車の手配は今も電話で行っていますが、これは運送会社との関係構築という意味合いが強いです。電話連絡もうまく使いつつ、最終的にはMOVO Vista上に情報を集約しています。そのため、請求内容の確認はMOVO Vistaを見るだけで完結し、以前のように紙にメモされた金額を探す手間がなくなりました。

柴様: 当日ドライバーさんには、予約した時間に入場しタブレットで受付、呼び出しを受けて接車、バースでの積み込み作業ののち退場いただく流れです。積み込みが終わったら、庫内作業担当がタブレットで荷姿の写真を撮ってMOVO Berthにアップロードしています。当社ではトラブル時に少しでも手がかりが残るように、写真を撮って保存する運用を行っています。以前は写真を共有フォルダに保存していましたが、今ではMOVO Berthに直接添付して保存することで、トラブルが起きた際に、原因をすぐに逆引きでき、記録が一元管理できるようになりました。
細やかな情報連携が生み出す「配車・運送・庫内」三方よしの業務改善
Q. プロジェクトの成果を教えてください
手塚様: MOVO VistaとMOVO Berthの連携により、運送会社が予約する運用も比較的スムーズに定着し、MOVO Berthを事業所全体に展開することができました。幹線便と直送便で運用が統一されたので、ドライバーさんの混乱もなくなりました。これまで、ドライバーさんには入場時と積み込み時の2回受付をしてもらっていましたが、今はMOVO Berthのタブレットの受付のみです。
山本様: 配車時にMOVO Vistaに入力した情報が、MOVO Berthの予約を経てバース表に自動反映されるため、配車担当・運送会社・庫内作業担当との情報連携が細やかにできるようになりました。当社では出荷業務の際に「出荷受付番号」という番号を付番し、それをもとに作業を行っています。この番号を運送会社に都度入力してもらうのは運用上難しかったのですが、MOVO Vistaに一度入力すれば、配車の段階から庫内作業まで、すべての工程で番号を共有・確認できるようになりました。
手塚様: 以前は、配車時に納品先の方面と納品日といった情報しか伝えていなかったのですが、今は、出荷受付番号や納品先住所、伝票番号、納品日に加え金額まで入力しています。これまでは注文書に手書きで記入していたので最低限の情報になっていましたが、MOVO Vistaで仕組み化したことで、必要な情報を「入力しなくてはいけない」状況を作りました。

また以前は運送会社からの車両情報の連絡はFAXでしたので、連絡が遅れている場合はこちらから電話で確認をいれていました。今は運送会社がMOVO Vistaの画面から車両情報を入力して予約する運用にしています。配車担当・運送会社でのMOVO Vistaへの入力は発生しますが、結果、運送会社・庫内作業担当とはじめから細やかな情報が連携できることで、電話での確認作業などの余計な業務がなくなりました。
事業所では、MOVO Vistaにより注文書をWebで管理できるようになり、紙を探す必要がなくなりました。Web上で誰でも閲覧できるので、属人化解消につながっています。ペーパーレスについても、いままでは幹線便で1日あたり約30枚、その他の便で1日あたり約50枚の注文書が発生していたので、約80枚の紙をゼロにできた計算になります。
柴様:MOVO Berthを事業所全体に展開できたことで、実績データがMOVOに一元化され、荷主企業や本社からのデータ共有の依頼にすぐに対応できるようになりました。特に最近は荷主企業から求められことが増えています。今までは受付簿を持ち出してExcel入力するところから始めていましたがその必要はありません。運送会社ごとの待機時間や、入場してからの呼び出し回数など、細かなデータが取れることも助かっています。

運送会社の負荷を最小限に――使いやすさとメリットを追求
Q. 運送会社の反応はいかがでしたか
山本様: MOVOは物流業界で浸透しているので、MOVO Berthで予約をしたことがある運送会社の方も多く、はじめから操作に慣れていたのはありがたかった点です。さらに、MOVO Vistaの情報がMOVO Berthに連携されるので、運送会社での入力項目が少なく、むしろこちらの方が予約が楽だというお声もいただきました。できるだけ運送会社の負荷を減らし使いやすくするため、事前に入力できる情報は当社側で登録するよう工夫したので、そのように言っていただきほっとしました。
幹線便では、以前は当社で入場時間を決め運送会社に通知していましたが、今は運送会社自身で都合のよい時間を予約するため、予約時間に対する納得感も得られているように思います。

オペレーション本部 オペレーション統括 北関東ブロック 関東事業所 山本 健太 様
初導入センターの成功を起点に、MOVO Vista・Berthを全国へ
Q. 今後の展望を教えてください
柴様: 事業所全体にMOVO Berthを展開したことで、出荷作業が多い日や特定のカテゴリに出荷が集中する日などの傾向が可視化されました。今後はこのデータを活用し、精度の高い業務計画や人員計画を立て、工数削減と品質向上につなげたいと考えています。
また、MOVO Vistaは改正貨物自動車運送事業法で義務化された「実運送体制管理簿」の作成ができる点も非常にありがたいです。これまでの紙での管理では非常に煩雑な作業でしたが、MOVO Vistaで簡単に作成できるようになったため、この機能をフル活用していきたいです。
MOVO Berthからの呼び出し機能について、手元の携帯電話やスマートフォンで通知を確認できると耳の不自由なドライバーさんにとても喜ばれているのは新たな発見でした。一部のドライバーさんが利用しているMOVO Berthでの遅延・早着連絡はドライバーさんだけでなく庫内作業のさらなる整流化にもつながります。事業所への展開を機に、MOVO Berthの活用もさらに進めていきたいです。
属人化の解消にも引き続き取り組みたいですね。会社である以上、異動はあり得ます。各々がプロフェッショナルであるがゆえに業務が属人化してしまう面がありましたが、さらにMOVO Vistaに情報を集約することで、いつだれが見てもすぐに対応できるような業務体制をつくっていきたいです。
当社では他の事業所でもMOVO Berthを導入していますが、MOVO Vistaを導入したのは関東事業所が初めてのセンターです。今回の成功を社内でも展開し、さらに広い範囲にMOVO Vista・Berthの活用を広げられればと思います。